先日、Uber Eatsからアンケートメールが来ましたが、皆さんも受け取っているでしょうか。
アンケートの中のひとつに、Uber Eatsのサブスクリプション(定額での使い放題サービス)に関するものがありました。
本記事では、Uber Eatsがサブスクリプションを開始した場合に、Uber Eatsの運営・注文者・レストラン・配達パートナーに起こる変化について、考察してみたいと思います。
サブスクリプションが開始されることを想像しながら、一緒に考えてただければ幸いです。
※2020年8月9日追記 Uber Eatsの定額サービスがリリースされました。サービス内容は下の記事で解説しています。
- Uber Eatsのサブスクリプションは、どんなサービスになるか?
- Uber Eatsでサブスクリプションが開始された場合に起こる変化(Uber 運営・注文者・配達パートナー・レストランの視点から)
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サブスクリプションとは?


『サブスクリプション』や『サブスク』という言葉を最近よく耳にしますが、簡単に言うと『月額使い放題サービス』と考えていただければよいです。
日本でも最近、”良くも・悪くも”話題をふりまいているUber Eatsですが、将来サブスクリプションの導入を検討しているようです。
すでにサンフランシスコとシカゴでの試験導入がされていて、月額24.99ドルでライドシェアの割引やUber Eatsが配送料無料といったサービスを受けることができます。
【サブスクリプションの日本での導入について】
日本でも将来の導入を検討していることは、Uber Eatsの利用者向けに届いた以下のアンケートを見てもわかります。


【サブスクリプションで期待できるサービス内容】
上のアンケートに書いてあるサブスクリプションのサービス内容は、あくまで一例なので、実際にそこまでお得なサービスになるかわかりません。
しかしアンケートの文面を見る限り、以下の2つのサービスについては期待できそうです。
- 月に○○回まで配送手数料が無料
- 食事代が△△%引き
※あくまでサービスの例です
例えば、配送手数料が1回500円、食事代の値引きが1回200円と仮定すると、1回の注文で700円お得になるので、注文者からすると月額3,000円支払っても、5回の注文で元が取れます。
上の2つ以外にも、サブスクリプション会員限定の特別なクーポンの配布なども期待できそうです。
Uber Eatsの仕組みと利害関係者とは?


さて、本記事ではUber Eatsがサブスクリプションを導入した場合に起こる変化を考察する前に、Uber Eatsの仕組みを支える関係者と、それぞれの役割を簡単にご説明します。
ご興味がない方は、読み飛ばしていただいて構いません。
【Uber Eatsの仕組みを支える関係4者】
Uber Eatsのビジネスモデルでは、以下の関係者が登場します。本記事では、サブスクリプションの導入がもたらすメリットについて、関係する4者の視点で考えてみたいと思います。
- Uber Eatsの運営元(Uber Japan)
- 注文者
- レストラン
- 配達パートナー
【関係4者の役割】
下の図は、料理の注文から配達までの流れを示した模式図です。
①の注文者が料理を注文するところから、⑦の配達パートナーが配達を完了するところまで、全体の流れが何となく理解できれば大丈夫です。


前置きはこれくらいにして、いよいよ本題に入りましょう。
Uber Eatsのサブスクリプションのメリットとは?


上の項目でご説明した、Uber Eatsの運営・注文者・レストラン・配達パートナーという4者の視点で、サブスクリプション導入のメリットを考察してみます。
Uber Eatsの運営元(Uber Japan)のメリット
サブスクリプションの提供元なので、当然ながらメリットが沢山あるはずです。
【Uber Eats運営元のメリット】
- 毎月の安定した売上が見込める
- 注文が増えることで売上が増える
- 競合他社との差別化ができる、ユーザーロックオンができる
- 他のサービスに横展開できる(タクシーやその他のシェアリングサービス)
上の4つについて、順番に解説していきます。
① 毎月の安定した売上が見込める
サブスクリプションのメリットの一つ目は、毎月の安定した売り上げが見込めることです。
これはビジネス上とても重要なことで、売り上げや収益が安定することで将来の予測が可能になり、効率的な設備投資やコスト削減といった効果も期待できます。
② 注文が増えることで売上が増える
使い放題サービスは、使えば使うほどお得な仕組みです。従って、サブスクリプション契約した注文者は、これまでよりも頻繁にサービスを使いたいという考えるのが自然です。
その結果、Uber Eatsの売上が増えると考えられます。
③ 競合他社との差別化ができる、ユーザーロックオンができる
ユーザーロックオンというメリットも見逃せません。
例えば、わざわざUber Eatsに月額料金を払っているユーザーは、出前館のような他のデリバリーサービスを使わなくなる(ユーザーロックオンする)ので、サブスクリプション契約することで、競合他社から顧客を根こそぎ奪い取ることができます。
④ 他のサービスに横展開できる(タクシーやその他のシェアリングサービス)
サブスクリプションは、サービスを横展開していくビジネスモデルにも向いています。
例えば、Uber が将来フードデリバリー以外のサービス、例えば配車サービスや、自転車のシェアリングサービスなどを日本で始めることがあれば、それらを包括した使い放題プランに拡充していくといったビジネスの拡大路線も視野に入ってきます。特に自転車のシェアリングサービスは、Uberの配達パートナーからの需要も確実に見込めるので、勝算はあるのではないでしょうか。
注文者のメリット
次は、Uber Eatsの注文者の視点で、サブスクリプションのメリットを考えてみましょう。
【Uber Eats注文者のメリット】
- 1回あたりの利用料金(配送手数料など)が下がる
- レストランの選択肢が増える
① 1回あたりの利用手数料(配送手数料など)が下がる
サブスクリプションは、月額料金を支払ってお得なサービスを受けることができるので、1回ごと支払う場合に比べて、必ず1回あたりの利用料金(配送手数料など)が下がります。
これは、ヘビーユーザーから見ると当然メリットですが、これまではライトユーザーだった人を取り込んで、ヘビーユーザーに変えてしまう可能性すらあります。
② レストランの選択肢が増える
見逃しがちなメリットとして挙げたいのが、レストランの選択肢が増えることです。
Uber Eatsの配送手数料は距離に応じて高くなるので、一般的な注文者は、配送手数料を安くするために、自宅やオフィスから近くのレストランに注文することが多いのが現状です。
しかし、配送手数料が無料ということになれば、これまでは注文したくても注文できなかった遠くのレストランにも手数料を気にすることなく注文できるようになります。※もちろんシステム的に注文できる距離の制限はかかるはずです
これは、注文者から見るとUber Eatsのサービスの価値を上げるほどの大きなメリットであると考えられます。
レストランのメリット
レストランにとっても良いことが沢山あると考えますが、ここでは以下の2点をご説明します。
【Uber Eatsのレストランのメリット】
- 注文が増える・売上が増える
- 宣伝効果がある・リアルの店舗に集客できる
① 注文が増える・売り上げが増える
上でもご説明したように、サブスクリプションが導入されれば、Uber Eatsのサービス全体として、注文が増えると予想できます。
Uber Eatsの注文数の増加は、当然ながらレストランの売上増加にも直結すると考えられます。
② 宣伝効果がある・リアルの店舗に集客できる
注文者のメリットとして書いたように、サブスクリプションで配送手数料が無料になれば、これまで注文できなかったような遠くのレストランにも、手数料を気にせずに注文できるようになります。
レストランの視点では、これまで注文が入らなかった遠くのユーザーからも注文が入るようになります。
これは、Uber Eatsのアプリを通じて、「レストラン自体の存在や料理の味を知ってもらえるチャンスが圧倒的に増える」ことになるので、レストランの宣伝効果が期待できます。
その結果、おいしいレストランとして認知してもらうことで、直接リアルの店舗に来店してもらえる機会も増えるかもしれません。
配達パートナーのメリット
最後に配達パートナーの視点でメリットを考えます。
① 配達報酬が増える可能性がある
配達パートナーの報酬は歩合制です。
配達距離などに応じて1回ごとに報酬がもらえるのですが、歩合制なので配達の依頼を待っている待機時間には報酬が発生しません。そのため、配達パートナーが最も嫌がることのひとつが、配達の依頼が少ないことです。
サブスクリプションの導入により料理の注文が増えれば、当然ながら配達の依頼も増えますので、配達パートナーの待機時間が減ることが予測され、時間あたりの報酬が増える可能性があります。
逆にサブスクリプション導入によるデメリットや懸念点はあるか?


サブスクリプションによるメリットのみ書いてみましたが、デメリットと言えないまでも、いくつか懸念点がありそうなので考察してみたいと思います。
以下のような懸念事項について、Uberの運営や人工知能がどのように解決するのか気になるところです。
【サブスクリプションの懸念点】
- 利益率が下がる可能性がある
- 注文の需給バランスが取れずサービスの質が下がる可能性がある
上の2つについて、それぞれご説明します。
懸念点① 利益率が下がる可能性がある
注文1回あたりの手数料が下がるということは、そのツケをUberの運営・レストラン・配達パートナーの誰かが払う必要が出てきます。
最も短絡的な解決方法は、配達パートナーの報酬単価を下げることかもしれません。配達パートナーは、待機時間が減って配達回数が増える代わりに、配達1回あたりの報酬単価が減ることでトータルトントンになるという可能性も考えられます。
しかし、矛盾したことを書くようですが、下の懸念②に書いたように、注文殺到時には配達報酬がこれまで以上にアップする可能性もあると考えられます。
懸念点② 注文の需給バランスが取れずサービスの質が下がる可能性がある
2つ目の懸念についてご理解いただくために、Uber Eatsのサービスの本質と、そのサービスの質を保つためのUber Eatsの運営が行う手段について順番にご説明します。
【Uber Eatsのサービスの本質は、需要と供給のマッチング】
Uber Eatsのサービスの本質は、下に挙げた2つの『需要』と『供給』をマッチングする機能です。
この需要と供給のバランスを保つことが、Uber Eatsのサービスの質を保つためにとても重要になってきます。
- 料理の注文という「需要」
- 料理の配達という「供給」
【サービスの質を保つには、注文の需給バランスをコントロールする必要がある】
サービスの質を保つには、需要と供給のバランスがとても重要です。なぜなら、以下のように需要が供給を大きく超えると、サービスの質が著しく低がるからです。
- 需要 < 供給 ・・・ ◎ 配達可能
- 需要 = 供給 ・・・ 〇 配達可能
- 需要 > 供給 ・・・ × 配達遅延・配達停止
お昼や夜のピーク時間帯や大雨や台風の荒天時に、料理の配達が遅れるのは、配達パートナーの供給が追い付かないことが大きな要因です。※当然レストラン側の供給能力もある
【需給バランスをコントロールするための2つの手段】
需要が供給を大きく上回るときには、以下の2種類の対策をすることで、需要と供給のバランスをコントロールすることができます。
- 配送手数料を上げることで需要を減らす(料理の注文を減らす)
- 配達報酬を上げることで供給を増やす(配達パートナーを増やす)
【サブスクリプション導入による影響】
サブスクリプションの導入によって、配送手数料が無料になった場合何が起こるでしょうか。
上に挙げた方法のうち、①の配送手数料を上げて需要を減らすことが難しくなるわけです。混雑時だけ配送手数料を有料にすれば対策できますが、サービスとしては魅力が無さすぎますので、そういったことはしないでしょう。
以上、説明が長くなりましたが、サブスクリプションを導入すると需給バランスをコントロールすることが難しくなり、サービス低下の懸念があります。
まとめ
本記事では、サブスクリプションによって、Uber Eatsに関わる関係者にどんな変化があるか考察してみました。
いくつか懸念点はあるものの、全体としてはサブスクリプションの導入はメリットが多いと個人的に考えていますし、そういった未来がやってくるのをワクワクした気持ちで待っています。
まとめ
- サブスクリプションが導入されると、みんなにメリットが沢山ありそう
- いくつか懸念点もありますが、Uber がどのように解決するのか楽しみ
▼注文アプリのインストール方法はコチラの記事をご覧ください。